家庭医の学習帳

千葉県のクリニックで子どもからご高齢の方を日々診療。心療内科・家族支援にも力を入れています。日々考えたことや勉強したことを綴ります。

心理療法関連

公認心理士国家試験に合格しました

公認心理師国家試験に合格しました。 昨年心療内科で1年間学び、もっと心理学や心理支援を深め診療に活かしたいと考え受験に至りました。せっかく勉強するならと、理解を深めるためにオンラインで予備校の授業も受けたりしました。 仕事しながらの勉強の大変…

集団・社会を理解する上で陥りやすい罠

昨今、結論がなかなか出せないような事が頻繁に起きています。 メディアやSNSの議論のプロセスを見ていると原因を単純化させたり、単一の個人・集団・社会を悪者にしたりと激化しているものもあるのを感じます。 その結論がどうかはわかりませんが、プロセス…

2021年度 心療内科での診療を振り返って(1年間)

2021年4月より心療内科での診察に週2-3日携わるようになり、1年が経ちました。心療内科で1年間どっぷりと診療をし、心療内科や心理療法の奥深さに触れられ日々大変学びも多く、家庭医でなければ心療内科になることを選んでいたかもしれないと思うほど面白か…

コロナ禍における「あいまいな喪失」

かけがえのない人や物を失うことを喪失といいますが、時には明確でない何かをはっきりしないまま、解決や決着することもできないまま喪失していることがあり、それを「あいまいな喪失」といいます。日本には、11年前の東日本大震災をきっかけに紹介され、コ…

2021年度 心療内科での診療を振り返って(10-12月)

2021年4月より心療内科での診察に週2-3日携わるようになり、9ヶ月ほど経ちました。家庭医としても精神疾患や心身症の方の診療はしておりましたが、それでもなお心療内科での診療は日々勉強になることばかりです。 4-9月の学びは以前ブログでまとめてみました…

「承認すること」について考える

現場において患者さんを「承認」することはありますが、どこか上から目線のようでもあって嫌な気をするときさえありました。しかし、先日指導医の先生と議論することがあり、承認の面接における役割を考える良いきっかけとなりました。 承認は、褒める・聞き…

【シリーズ心理療法】動機づけ面接 〜診察室で行う“コーチング”〜

日々の診療の中で多くの医療者が時間を費やし、同時に頭を悩ませているのが、患者さんの行動をいかに健康的なものにするかである。 現代医療は人々の健康に大きな恩恵をもたらし、ほとんどの病気が日々の習慣を変えることで大抵の場合は予防または治療か…

2021年度 心療内科での診療を振り返って(4-9月)

2021年4月より心療内科での診察に週3日携わるようになり、半年ほど経ちました。振り返ると、日々勉強になることばかり。正直、診療を始める前にも、精神疾患や心身症の診療は自信がそこそこあったし、メンタルヘルス領域の勉強もしていたのですが、想像以上…

【シリーズ心理療法】支持的精神療法 〜「支える」とは何か〜

医療行為において医療者の「支持」は絶対に必要であり、あらゆる医療行為の根底にあると言ってもいいすぎる事はない。一方で、患者を支持しすぎるが故、関係性が近づきすぎ、治療に不具合が生じたり、トラブルに巻き込まれることも医療者であれば誰しもが経…

【資料】コーチングの基本 〜人を導く方程式〜

コーチングは、ビジネスをはじめ様々な業界で活用され、コーチングを利用することで仕事の目標を明確にし、効果的に達成することに注目が集まっています。近年では、医療分野でも活用されるようになっており、様々な研究がされています。 私も何度か研修を受…

幸せな対人関係のための心理学 「交流分析」について

はじめに 交流分析とは 日々の診療の相談で多いのは健康問題ですが、それに負けず劣らず人間関係の相談もとても多いです。親子関係、夫婦関係、学校との友達関係、職場の人間関係など、様々な人間関係の悩みがあると思います。 逆に、人と人との関わりが上手…

イライラを抑える方法 アンガーマネジメントの視点から

もともとイライラしやすいので、 それを表に出さないようにしようと気をつけていましたが、 昨日はどうしてもイライラしてしまって、 それを他の人にぶつけてしまいました。 怒りはどんな時であれ損することが多いので、 反省を込めて「アンガーマネジメント…

アドラー心理学で考える子育てのヒント

“間違った行動が引き起こす結果こそ最良の教師である” とある心理士さんとのアドラー心理学をベースにした子育て勉強会での言葉です。 アドラー心理学というと、最近まで様々な本が出版されていましたね。 特に「叱らない」「褒めない」関わり方で有名ですが…

コーチング研修会に参加してみて

“コーチングはティーチングでもカウンセリングでもない双方向性のコミュニケーションである” コーチングの2日間の研修会に参加してきました。 「コーチ」というとスポーツや競技でよく聞きますが、 1980年代からアメリカではビジネスの世界に「コーチ」をつ…