先日東京北医療センターにて「家族志向のケア」についてのワークショップを行う機会をいただきました。
3時間という時間をいただいたので、少し深掘りしたレクチャーやグループワークやロールプレイも交え、実践的な学びが得られることを意識しました。
長丁場にも関わらず、途中や最期にもたくさんの質問をいただき、皆様の関心やモチベーションの高さを感じ、私にとっても充実した時間でした。
準備するにあたり、今回は専攻医の皆様が多いと伺い、なぜ自分が「家族」に注目するようになったか個人的体験を振り返ってみました。
それは専攻医2年目のときに出会った10代後半のひきこもりの患者さんの診療経験です。本人は受診されず、お母さんのみが相談に来られていました。1年ほど相談を続けていましたが、結局は受診が途切れました。
それに対し何もできず、様々なライフサイクルや患者さんを扱う家庭医として自信を喪失したのを今でも覚えています。そこで家族療法を知り、勉強するようになりました。
家族療法の勉強は目から鱗が落ちる内容ばかりで、臨床家として価値観が大きく転換させられました。勉強する中で、先ほどの事例も本人を「問題」にし、お母さんを「悪者」にし、医者が「変える」ことにばかり固執していたのではと大変反省させられました。
その後学びを深め、私もまだまだ勉強の途中ですが、プライマリ・ケアの現場の皆様に家族臨床の楽しさを少しでも感じていただけたらと思いますし、これからもライフワークとしてコツコツと伝え続けていきたいです。
貴重な機会をくださった東京北医療センター岡田悟先生ありがとうございました!