家庭医の学習帳

千葉県のクリニックで子どもからご高齢の方を日々診療。心療内科・家族支援にも力を入れています。日々考えたことや勉強したことを綴ります。

精神科医と内科医、その狭間に立つ医師のための器質的精神病──『精神疾患ミミック』を読んで

精神科医と診る精神疾患ミミック / 内科医と診る器質性精神病』をご献本いただきました。

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本書は、精神症状を呈する器質的疾患を単に列挙するのではなく、「どのような経過が精神疾患らしく、どのような経過が器質的疾患らしいのか」について、著者の豊富な経験と文献的知見に基づき、実践的かつわかりやすく解説されています。大きな学びを得られる一冊でした。

精神症状について、ここまで精神疾患と器質的疾患の両面から臨床実感に即して描かれた書籍は、これまであまり目にしたことがありません。

また、同じ「診断」や「治療」という言葉でも、精神科医と内科医とでは、その背景にある思考や判断の枠組みに大きな違いがあることを、私も漠然と感じていました。本ではその違いが多角的な視点から丁寧に言語化されており、腑に落ちました。

こうした認識の違いが、診療現場で絶妙なすれ違いを生み、器質的精神疾患の見逃しにつながりやすい―この課題が、「うつ」「認知機能障害」「緊張病」など、日常診療でよく見かける症候を通じて一貫して描かれています。明日からの診療が大きく変わりそうです。

精神科医から救急医、そして内科医へと転科された著者ならではの視点だと感じました。

家庭医として、精神疾患と内科疾患の両方に関わる立場、また専門家同士の橋渡しとしての役割を担う立場からも、本書は診断のピットフォールを学ぶにとどまらず、それぞれの専門性の違いや連携のあり方について深く考えさせられる一冊でした。