若手医師のための家庭医療学セミナーで家族図のワークショップを家庭医の先生向けに行いました。
前半は家族図の書き方・読み方・聴き方を学び、
後半は実際に家族図を書いて、参加者がペアになって面接をしました。
中でも一風変わっているのは、
描く家族図はどこかの症例ではなく、
“自分”の家族図で、面接も“自分”の家族を使って行ったことです。
自身の家族図を書いて自己理解を深めるというワークは、家族療法の教育プログラムや、家庭医の世界ではロチェスター大学家庭医療プログラムがおこなっている手法です。
支援者は対象者の人生体験を理解し、その心理に共感する時に、自分自身の過去・現在の生活体験と、そこに含まれた感情体験を無意識のうちに参照しています。
そのため、支援者が対象者の家族を語れるようになるためには、自分自身の感情体験を自由に語ることができることが大切です。
症例ベースで家族図を書いたり読んだりするのも良いですが、
自身のを書いたり読んだりしてみることで、自己理解を深める経験もなかなかないのではと思いこのようなワークショップの形にしました。
40名弱の方にお越しいただき、
ワークショップ後も質問が止まらず、大盛況に終わりました。
昨年から家族療法家の先生と一緒に、
家庭医の家族志向型ケアを学習するセミナーやその他いくつかの学習する機会を有志のメンバーと作っていますが、
家族療法家の先生の存在を家庭医の先生方が貴重に思っていることを痛切に感じます。
アメリカでは家族療法家が多いため、
家庭医プログラムの中に家族療法家が所属し家族志向型ケアを学習する場を環境を整えていることが多いです。
そこでは定期的なレクチャーだけでなく、
コンサルテーションやスーパービジョン、
さらには、ビデオフィードバックや合同面接の場があるプログラムもあります。
日本では家族システム理論者が絶対的に少ないため、
いかにして家族志向型ケアを学習する場をつくるかが課題だと思います。
ただ、家族介入自体は家庭医の先生方はよくやられていますし、家族関係が複雑な症例もたくさん診察されていると思います。
必要なのは、
“普段行なっている家族介入を系統立てて考えられ、
さらにその考えを他の人に言語化して伝えられるようになれること”
だと思います。
そのための家族療法家の先生方と一緒になって、家庭医の先生が継続的に学習できる体制を作っていきたいと思いました。
一緒にやってくださったワークショップスタッフの先生方
貴重な機会を提供してくださったセミナースタッフの皆様
本当にありがとうございました!