家庭医の学習帳

千葉県のクリニックで子どもからご高齢の方を日々診療。心療内科・家族支援にも力を入れています。日々考えたことや勉強したことを綴ります。

アドラー心理学で考える子育てのヒント

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“間違った行動が引き起こす結果こそ最良の教師である”

とある心理士さんとのアドラー心理学をベースにした子育て勉強会での言葉です。
 
アドラー心理学というと、最近まで様々な本が出版されていましたね。
 
特に「叱らない」「褒めない」関わり方で有名ですが、
「叱らない」はわかりますが、「褒めない」というはとても斬新です。
 
その理由は何故か、代わりにどうやって子供に関われば良いか、
この記事で述べていきたいと思います。

賞罰の功罪 

子供がいけないことをしているとついつい「罰」を与えたくなってしまいます。
例えば、宿題やらなかったからおやつは抜き、
悪い点をとったからゲーム没収など。
 
しかし、子供がいけないことをした時に罰を使うことは、
一次的には良いかもしれませんが、
様々な「副作用」もあります。
 
それは長期的には、親子関係が悪くなり、
罰がなくなった途端に不適切な行動が増え、
見つからなければ良いと思うようになることです。
 
また、子供が良いことをした時には「報酬」を与えたくなってしまいます。
宿題をしたから、おやつを食べていいよ、
良い点をとったらゲームを買ってあげるなど。
 
さまざまな育児本にも、良いことをしたら褒めなさいと書いてあることも多いと思います。
 
しかし、子供が良いことをした時に賞を使うことも
即効性があるかもしれませんが、
「副作用」もあるとアドラーは指摘します。
 
賞がなくなった途端に適切な行動がへることや、
賞の要求もエスカレートする危険性です。
終いには、行動の本来の目的を見失います。
 
何よりも善悪の基準が子供の中に芽生えず、
結果子供のためにならないということが起こります。
 
それでは何をもって子供と関わることが必要でしょうか。
3つの方法があるとアドラーは述べてます。
 

自然な結末を本人が知ること

例えば、
・高いところから落ちると痛い。
・物を落とすと壊れる。
・宿題をしないと、テストで良い点を取れない。
・テストで良い点を取らないと、将来の可能性が狭まるなど。
 
アドラーは実際に失敗をしたとしても、そこから学んでいくことが大切と述べます。それが一番の学びになると。
 
そして、親は結果に対する気づきを作る関わりをします。 
例えばその結果に対して「何を学んだ?」「どうすれば良かったか?」などを聞いていきます。
 
ただ、危険だったり、ショックが大きそうだったり、
結末の結果が重大そうな場合は、
事前に阻止することも必要です。
 

論理的結末を本人が知ること

先ほどの、自然の結末を知ることが、
自然な行動に対しての対応だとすると、
これは不適切行動に対して適応されます。
 
例えば、レストランで大声で騒いだ子供をすぐに外に連れ出すこと。
その際のポイントは以下の通りです。
 
・行動と結末の関係が合理的で妥当である。レストランで大声で騒ぐと他の人に迷惑がかかるので、外に出るのは妥当な結果である。
・事前に結末の可能性を伝え相手が納得していることが必要。
・親が感情的になっていないこと。
・親も同じようなことがあれば適応されることも重要。
 

勇気づけ

3つめは、何よりもアドラーが大切にしている勇気づけです。
 
勇気づけでは、不適切な行動ではなく、適切な行動に注目して、その子の「長所」「能力」を探し、「承認」することです。 

“植物に水が必要なように、子供には勇気づけが必要である”

 
そして、やってはいけない行動があった場合には、すぐその場で伝えるのではなく、落ち着いて話せる時に話すことが大切と述べています。
 

まとめ 

アドラー心理学の育児は、これまでの育児とは異なった方法論を採用しており、

そのため、最初はかなりの驚きと違和感を感じるかもしれません。


ただ、すでに100年近くの伝統があり、日本でも20年以上の実践が積み重ねられています。

 

その手法は「コーチング」と近いものを感じます。

関心を持たれた方は是非アドラー心理学の本を読んでみてください。

 

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