人は「愛着」の対象を必ず必要とします。
20代の夫婦から「愛着」の重要性を感じました。
「夫が子供みたいで呆れます。病気なんですか?」
そう話すのは、最近結婚したばかりの20代の女性。彼女は過呼吸が頻回出るようになったのがきっかけで当院を受診しました。
その原因に新婚の夫とのストレスがあり、
相談のために当院に通院しています。
先日の外来では、夫が本人の前で子供っぽくなるので、
それで良いのでしょうかと本人から相談がありました。
甘えることもあれば、
逆に子供っぽく怒ってみることもあり、
本人はそれが嫌で喧嘩になるとのことでした。
確かに、会社でもそうだったら病気かもしれませんが・・・
とお伝えしたら、それはないらしい。
むしろ会社の他の人の話では、
夫は仕事はよくやっていると褒められているとのこと。
そこで「愛着」の話をしました。
「自分しか見せない一面があるのでしたら、それは自分を愛着対象としてみていることなので、好ましいことではないですか。成人でも、子ども返りすることはあるし、それは夫が妻に安心感を感じている証拠です。他の人に愛着を持つよりいいじゃないですか。受け止めてあげてください、その分今後何かあったら受け止めてくれるので。」
そのようなことをお伝えしたら、納得されていました。
愛着とは「他人・動物・物に抱く特別な情緒的な結びつき」です。
患者さんの愛着対象がどこにあるのか着目しますが、複雑な事例において特に重要になります。
患者さんの愛着対象がどこにあるのか着目しますが、複雑な事例において特に重要になります。
愛着対象になるべきものに愛着を持つことは好ましいことです。
夫が妻に、妻が夫に、さらに両親が子供に、子供が両親になど。
愛着対象は多いほど安定するとも言われます。
家族だけでなく、親戚・友人・知人・職場の人など。
「自立とは依存先を増やすこと」という言葉もあります。
また、人だけでなく、物や物事に愛着を持つこともあります。
趣味だったり、仕事だったり。何か熱中なものがあると安定します。
ただ、身を滅ぼす愛着対象もあります(依存という言葉の方がわかりやすいですが)。
例えば、家族が夫婦が夫婦以外の異性と特別な愛着を持つと、浮気になります。
さらに、症状も愛着対象になります。
特に「長引く痛み」「長引く倦怠感」などが多いです。
でも、症状に痛みを持ちたい方なんて、本当はいないです。
ポイントは、「適切な愛着対象がないと不適切な愛着対象に目を向けざるを得ないこと」です。
夫婦間で打ち明けられる先がない場合は、
別の異性(浮気)や仕事(ワーカーホリック)に愛着を持つことになります。
身の回りの人や物事に熱中することができなければ、
症状に愛着を持つようになります。それは無意識のうちにそうなります。
なので、臨床家として、「適切な愛着対象に愛着が向けられるようにサポートをしていくこと」が大切です。
別の患者様で、2年間痛みがあって、生活できなかった方が、夫婦の間で愛着が生まれるようになり、痛みが消えたことがありました。
この事例でも奥様が徐々に旦那様を受け入れる様になり、息が詰まる感じは消えていきました。