家庭医の学習帳

千葉県のクリニックで子どもからご高齢の方を日々診療。心療内科・家族支援にも力を入れています。日々考えたことや勉強したことを綴ります。

世界における日本の保険制度の位置付け ーユニバーサル・ヘルス・カバレッジの視点からー

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先日院内の勉強会でユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(以下UHC)について話題になり、

世界の医療制度を学ぶ貴重な機会でした。

 

UHCとは「すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」こと。

 

2015 年に制定された「持続可能な開発目標」(SDGs)で、UHCは2030 年までに達成されるべきターゲットの一つとなり、

 

2017 年 12月12日が、UHC 促進のための国連の正式な記念日「国際 UHCデー」として承認されました。

 

中でも「UHCキューブ」の考え方が勉強になり、これを使うと国の保険サービス比較ができます。

 

UHCキューブはUHC の達成度合いを⽰す指標として有名で、

 

①人⼝カバレッジ

②保健サービス・カバレッジ

③コスト・カバレッジ

 

がキューブの3辺をなします。

 

外側の⽴⽅体が UHC が満たされた状態を⽰すことになり、

内側の⽴⽅体が大きければ大きいほど UHC の達成度合いが⾼いことを意味します。

 

日本は保険サービスが充実していると思っていましたが、その視点で見ると、

 

①人口カバレッジ国民皆保険制度とはいえ、保険を払わない人は漏れる
②保健サービスカバレッジ:予防医療は漏れる
③コストカバレッジ:6齢-70歳までは全て3割負担・そのほか一部1割または2割負担

 

と、まだできることはあるのかもしれないと思いました。

 

参考:https://www.who.int/health_financing/strategy/dimensions/en/