家庭医の学習帳

千葉県のクリニックで子どもからご高齢の方を日々診療。心療内科・家族支援にも力を入れています。日々考えたことや勉強したことを綴ります。

父親の育児参加の重要性について

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とある医療系団体にて、子育て支援についてお話をする機会をいただきました。お話しながら感じたのは、日本でも父親の育児参加への理解が社会の中でもっと進めばいいなということです。

最近では「コペアレンティング(共同療育者)」という概念があり、東北大学を中心に、近年様々な研究がなされています。

コペアレンティングとは、夫婦で共に自分ごととして育児をすることで、単なる育児の「量の平等」や「方針の一致」のみを指すのではなく、親同士が責任を共有し、調整・補償しあうことまでを指します。コペアレンティングがうまくいくと、以下の影響があるとされます。

・夫婦関係が良くなる
・育児不安や育児ストレスが低下する
・児出生後の抑うつ度が低下する
・育児の質が向上する
・子どもの発達が促される

育児といえば「不安」がセットとなることが多い日本の現在。その大きな要因として、かつては、祖父母・親戚・地域が育児の防波堤となっていたのが、これらの枠組みが弱体化し、その責任を一手に母親が引き受けていることが多いことが挙げられます。

両親の協働育児の概念がもっと浸透し、育児がより肯定的に感じられるものになれればいいなと改めて思いました。特に、子どもがまだ幼い頃は両親が子どもの傍で過ごすことが優先できたらと思います。

発達理論を提唱したエリクソンは「乳児期に人を信じることができるようになった子は同時に自分を信じる力を得る」と述べており、愛着理論を提唱したボウルヴィは「特定の人との密接な情緒的関係が愛着形成では大切」と述べています。

そう考えると、子どもに本当に優しい社会とは、子どもが小さい時期だけでも、両親が子どものすぐ側で多くの過ごせることを最優先できる社会であると改めて思い、そんな社会が実現されるといいなと思いました!