家庭医の学習帳

千葉県のクリニックで子どもからご高齢の方を日々診療。心療内科・家族支援にも力を入れています。日々考えたことや勉強したことを綴ります。

ファミラボ活動報告 指導者のみのグループスーパービジョン 

先日、運営するコミュニティ「ファミラボ」にて岡山家庭医療センター 松下明先生の事例を聖路加心療内科 山田宇以先生と三重大学総合診療科 若林英樹先生とで議論するという非常に豪華な症例検討会を行いました。

日本では家族支援の専門家が少ないですが、この分野を熟知された指導医3名が集まり事例検討会を行えたことは非常に貴重な機会だと思います。混沌極まる事例が家族志向のケア・家族療法の観点を中心に明快にされていく過程はまさに圧巻でした!

個人的に印象に残ったのは、家族内の葛藤は悪い影響ばかりだけでなく、前向きに向き合うことは今後人生で避けられない葛藤に遭遇した時に大きな学びになるという点です。それは話づらい夫婦の葛藤における子どもの学習という点であっても同じです。

医療者は問題を直接解決したかったり、診療の中だけで何とかしたくなってしまいがちですが、患者さんや家族自身が自ら葛藤や問題を乗り越えられるようにあくまで援助に回るというスタンスはレジリエンスを高めるためにも大事だと改めて思いました。

ファミラボはプライマリ・ケアに従事する医者が家族支援について学びを深め、交流するコミュニティです。今年度も優秀すぎる運営メンバーと一緒に、月2回のオンライン症例検討・勉強会や年3回のワークショップを中心に活動しました。コミュニティ参加者も徐々に増え、活動も安定してきたように思います。来年度は少しずつアカデミックな活動もできたらと少しずつ準備しています。

日本では家族の悩み事について相談できる場所がまだ少ないためか、地域の医療機関には様々な家族の相談事が「ついで」や「実は・・・」という形で持ち込まれることも多く、間接的にも症状や問題に家族が関わることも少なくありません。そんな相談にもしっかりと対応できる医療者が増えるように来年度もコミュニティ運営を頑張っていきたいです!