家庭医の学習帳

千葉県のクリニックで子どもからご高齢の方を日々診療。心療内科・家族支援にも力を入れています。日々考えたことや勉強したことを綴ります。

日本家族カウンセリング協会2023年度第4回全国大会で講演

日本家族カウンセリング協会2023年度第4回全国大会が6月18日にオンラインで開催され、「医療現場における家族支援とその展望」というテーマでお話しいたしました。

講演では、医療現場での家族志向のケア・家族支援の概要と実際について事例を交えながらお話しし、後半は医療現場での支援者支援の活動例としてファミラボを紹介いたしました。

福祉・教育・司法分野の方が多かったのですが、家庭医・総合診療医という専門や家族志向のケアという考え方をはじめて知ったという声も多く、いろんな方に知っていただけて大変嬉しいです。

 協会の皆様、貴重な機会をいただきありがとうございました!

また、他の先生方の講演もとても勉強になることが多く、臨床での何となくの実感を言語化してくれた感じでした。特に腑に落ちたことをまとめてみると、

・深刻な悩みが最初から相談されることは少なく、信頼関係を築いた上で相談されることがようやく出てくることが多い。家族の相談は深刻な悩みであることが多いため、やはり後から出てくることが多い。

・不安が軽いうちはまだ相談できる方も、不安が深刻だと攻撃性につながり、それが悪循環になることがある。深刻な不安だからこそ相談という手段が取れるようにサポートすることが大切。

・密着したご家族に、いかに風通しを良くするか。ジェノグラムやエコマップを書いて俯瞰することやシステムを拡大するということは、風通しを良くすることにつながる。

・依存症のよくある誤解の一つに「彼らは好きでやっている、快楽にふけっている」というのがあるが、本当はそうでない。苦痛から逃れたいけれどその他の術がなくアルコール、薬物、ギャンブル、ネット、ゲームにのめり込む。なので必要なのは罰や正論ではなく、苦痛を癒す関係性や、他に対処する術が大切。

また、何よりも思ったことが家族相談士の方々は家族カウンセリングだけでなく「居場所づくり」が上手なこと。学生の居場所、先生の居場所、地域の居場所、そして支援者の居場所など。

とある先生が、家族カウンセリングの知見は居場所づくりにも役立つと言っていたことをふと思い出しました。

「支援者の居場所づくり」これもキーワードにもっと頑張ろうと思いました。