家庭医の学習帳

千葉県のクリニックで子どもからご高齢の方を日々診療。心療内科・家族支援にも力を入れています。日々考えたことや勉強したことを綴ります。

人の罪悪感を受け入れる

person holding string lights

“亡くなった方に罪悪感を覚えるのには、その亡くなった方を大切に思っている証拠。だからむやみに否定しない”

 
とあるグリーフケア関連の勉強会での医療者の一言です。
 
人が罪悪感を感じていると、ついそれを軽減しようとします。
否定したり慰めたりと。
 
ただ、一度考えてみましょう。
罪悪感を感じることは本当に悪いことでしょうか。
 
ある息子さんは母親を亡くされ、母親との関わりにずっと罪悪感を覚えていました。
ずっと罪悪感が緩和されないかなと思って関わっていたのですが、
息子さんがぽろっと話された一言が胸に突き刺さりました。
 

“母親を忘れることが一番怖い。母親を忘れるくらいだったら、罪悪感があったほうが良い。それが母親が生きていた証だから”

 
ある医療者の方がこのようなお話をされました。
 

“片親を亡くされた子供が、亡くなるまで何もできなかったことに罪悪感を覚え、ご存命のもう一人の親に対して積極的に関わるようになることがよくある”

 
親への罪悪感が、親子の関係を見直すきっかけにもなるとのことです。
 
罪悪感を感じている事実よりも、
大切なのは罪悪感を感じる意味だと思いました。
 
時と場合によっては、
そのまま受け止めることも大切かもしれません。
 
そんなことを考えた勉強会でした。