家庭医の学習帳

千葉県のクリニックで子どもからご高齢の方を日々診療。心療内科・家族支援にも力を入れています。日々考えたことや勉強したことを綴ります。

夫婦が危機にならないために

man and woman with bone fire sitting on seashore

私の外来には夫婦で通われている方も多く、

コロナでお互い自宅にいることが増えた影響か、                                                            

外来での夫婦の相談事の頻度も増えたように思います。

 

 

よくお話をするのが、「2人が問題」なのではなく、

「2人のコミュニケーションが問題」と話します。

 

 

コミュニケーションがうまくいかないと、

普段は思いもしない行動をとることもあります。

 

 

Gottman(1999)は夫婦関係性を傷つける破壊的な行動パターンを「4つの騎手」と述べています。

 

 

①批判:行動でなく人格への攻撃「あなたはいつも〜」「あなたって本当に〜」
②軽蔑:悪意のある優越感を示す「そんなこともわからないの?」「常識でしょ?」
③防衛:犠牲者のような振る舞い「自分は悪くない」
④壁作り:黙り込んで話し合いに協力的でない態度で、最終手段

 

 

言葉の暴力を行うと、気まずさ・後悔・自己を正当化したくなり、

取り繕いのためにさらにエスカレートしていくことも。

 

 

実際の暴力など、後戻りできない大きな過ちになってしまうこともあります。

そのため先ほどの4つの行動を極力取らないことが重要です。

 

 

逆に以下のような行動を増やしていくことが大切です。

 

 

①パートナーをコントロールすることはできないことをまずは自覚する。
①自分のメッセージは「私はこう思う」で伝える。
②一方が話している時は、十分に話し終えるまでは遮らない。
③怒りの背後に、悲しみ・恐れ・不安(一次感情)があり、そこに焦点を当てる。

 

 

2人だけで悪循環を解決できない場合は、第三者の関わりが望ましいです。

他の家族や友人、さらには専門的な電話・WEB相談を利用するのも良いでしょう。

 

 

相談が恥ずかしい、こんなこと相談して良いのかと思う方もいるかもしれません。

 

 

夫婦の問題は多かれ少なかれ誰もが抱えています。

 

 

相談することは何も恥ずかしいことではなく、「問題を解決をしたい肯定的な気持ち」としてポジティブに捉えられるべきものです。

 

 

事が大きくなる前に周囲の人・専門家に相談するようにしてください。