家庭医の学習帳

千葉県のクリニックで子どもからご高齢の方を日々診療。心療内科・家族支援にも力を入れています。日々考えたことや勉強したことを綴ります。

予定調和的ファシリからの脱却 〜家族カウンセリング協会のグループ・ワークの感想〜

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家族カウンセリング協会でグループ・ワークのファシリテーションを行い、フィードバックを受けるというセミナーを受講しています。直接フィードバックをもらうと自分の癖に気付かされます。
 
私はファシリテーションにおいて結論をある程度出す「お持ち帰り感のある場づくり」が大事と考えていました。しかし、誘導することでこちらがうまくまとまったような気持ち良さを感じる一方、逆に予定調和的で表面的な議論に終始し、深みを引き出せない壁も最近は感じていました。
 
セミナー中も講師に「結論を出すファシリテーションが必要なこともある。しかし、結論を出すことで参加者が満足してそれ以上考えなくなる事や、結論があることで反発する人もいる。各々が終わった後も考え続けるには、余地あるファシリテーションができることも大切」と指摘されハッとしました。
 
家族をグループと考えると、家族面談は一つのグループ・ワークに例えることができます。特に家族面談を行うような家族には、本音が語られずに関係が長期にこじれてしまったり、深い葛藤を抱えている人もいらっしゃいます。その中で表面的にうまく結論を出そうとするファシリテーションは家族自体の主体性を奪ったり、時には誰かの反発を生む可能性でさえあったのかもしれません。
 
家族面談中に支援者に求められるのは結論を出すことではなく、葛藤の深いところをいかに語ることができ、その体験を通して面談後も家族各々が自分で考え、行動したくなる「安全でありながらもざらっとした場」をいかに作るかだと思いました。
 
セミナーはまだ続きます。自分の普段のやり方にこだわらず色々なファシリテーションの形を学びたいと思います。
 
※画像は東京2020大会の選手村エリアとなっていた晴美ふ頭公園。船の形の巨大な遊具と真ん中のウッディーなお洒落カフェが印象的。今なら期間限定で駐車場が無料。